呼吸のように・・・

俳句のエッセー

飛蝗

北陸新幹線が開業し、兼六園を中心に、にぎわいを見せています。
兼六園だけでも十分、楽しむことができますが、できれば、かつての土橋を渡り、
石川門から金沢城へいらしてはいかがかと思います。
石川門は搦手門。すなわち、裏門です。
その石川門から城内へ入りますと、再建された菱櫓、五十間長屋が見えます。
また、遅れて河北門も再建されました。
さすが100年後の国宝を目指しているだけあり、大変美しい景色です。
が、距離があるからでしょうか?
観光客の姿は、このあたりから徐々に減っていくようです。
あるいは、余りの敷地に、人が多いと感じないのかもしれません。
正面左の橋爪門から進んで、登坂から二の丸へ行きます。
広々とした空間を進み、ここから色々なコースがあります。
その奥をいもり堀方面へ降ると、新しい玉泉院丸庭園があります。
こちらは今年公開されたばかりです。是非、お越しください。
色紙短冊積石の作り滝。こちらは水が涸れてしまっていますが、
その下の段落ちの滝は、史実の通り、再建されています。
高低差のある庭園の中心に池があり、島が作られ、松が手入れされて、
大変、美しい庭園です。
二代目藩主の正室、玉泉院の名に恥じません。
このように見どころがたくさんですが、ある若者カップルが、
庭園の通りに這いつくばり、写真を撮っていました。
大体、想像はつきましたが、やはり、被写体はバッタでした。
そうか、ここまで来てバッタを撮ってしまうのか…
旅の高揚から、何でも珍しく感じられるのかもしれないですし、
都会のど真ん中から来たのであれば、
体調10センチもあるショウリョウバッタは、珍しいに違いないかもしれません。
私なら、赤松の上に鎮座し、松の手入れをしている庭師の方を撮ると思うのですが。
各々の楽しみ方があっていいのでしょう。
訪れる人々を、満足させてくれる空間。
金沢城へ、是非、どうぞ!