呼吸のように・・・

俳句のエッセー

俳句鑑賞(冬)

大マスク

本買ひに疫病(えやみ)の町へ大マスク 田島 和生 「コロナ俳句」です。 こちらの句は、季語に「マスク」を置いています。 マスクは冬の季語ですが、実際はコロナ禍のマスクです。 不要不急の外出を止められていましたが、 ようやく解放されて、作者は心を弾…

遠く飛ぶ

朴落葉少しの風に遠く飛ぶ 細見綾子 『細見綾子全句集』(沢木太郎編)を読了しました。 細見綾子は有名な俳人ですので、知っている句も多いのですが、 時系列に全句集を読むことは、大変貴重な経験となりました。 そのことで分かってきたこともあります。 …

雪にて拭ふ

春近し雪にて拭ふ靴の泥 沢木 欣一 今日は節分。 明日は立春です。 暦の上では「春」になります。 「春近し」とは、ちょうど今頃でしょうか。 今年は雪が全くありませんが、雪で靴を拭うのは、珍しいことではありません。 春が近づけば、土も斑に見え始め、…

金銀の紙ほどの幸

金銀の紙ほどの幸クリスマス 沢木 欣一 社会性俳句を打ち立てた沢木欣一は、 この俳句において、クリスマスを嘲っているのでしょうか。 欣一が詠んだのは、貧しく、食べる物も十分でなかった時代。 「クリスマスが来たと耶蘇は喜んでるが、生活は相変わらず…

年逝く

止り木のだれかれ酔うて年逝けり 田島 和生 「年逝く」、年末の風景です。 忘年会が増えて、飲む機会が増えてくる季節です。 しかし、「止り木」とありますので、宴席ではなさそうです。 電車を待ってか、二次会か、 止り木の人々は、皆、お酒が入っていて、…

室の花

室の花の大鉢二つと生活しています。 先日の催事の名残りです。 せっかくいただいた胡蝶蘭の鉢、二つ。 しかし、お花はしぼんで、今、3輪だけになりました。 温度調節が良くないのでしょうか。 過酷な環境に置いてしまって、お花がかわいそうです。 が、どう…

神楽

奉献の剣を掲げ神楽果つ F.Chieri これは記念すべき「雉」30周年大会での作品です。 特選に選んでいただき、短冊もいただきました。 思い出深い作品です。 「神楽」は、冬の季語ですが、 大会は春に開かれており、当日の取り決めで、 「神楽」の季語を使って…

初鴨

借景の湖へ初鴨滑り出づ 田島 和生 季語「初鴨」、冬。 借景の湖というのですから、 ここは、ご自宅かどなたかのお宅の窓、 あるいは縁側からの景色でしょうか。 広々とした湖は、建物の枠によって 一枚の絵画のように見えていたかもしれません。 その画面の…

神の手

神の手に撒かるるごとく鴨下り 田島和生 鴨が広がって下って来たのでしょう。 その中に作者は居た、ということでは決してないのですが、 そう思わせるほど、迫力のある光景を思います。 「神の手」という表現は、 まるで意思を持っているかのように、 群れが…

暖房にまどろみやすき祈りかな

暖房にまどろみやすき祈りかな ちえり 雪国の朝、寒さの中を来て、 礼拝堂に座り、指を組んで目を瞑り 祈り始めれば、その心地よさに、ついまどろんでしまいます。 暖房に体が暖められてのこと 誰もが覚えがあることでしょう。 教会、最年長の方の写生句です…