呼吸のように・・・

俳句のエッセー

落椿

椿の花は、花びらを散らすのではなく、花ごと落ちます。
それで、地に花が咲いたようになり、
それが椿の花の特徴でしょう。

走り根があれば、根に止まり、
岩があれば、岩に留まり、
池があれば、水面に浮きます。

池の水は緑に濁り、あるいは青く目に映ります。
「緑水」と言うそうです。
緑水に紅色の落椿が浮かび、池の水の色を更に深めているようでした。
椿の花が二輪、寄り添うように池の中央に浮かんでいます。
やがて風に流されて、端へ端へと移っていくことでしょう。

氷室の跡というこの場所は、兼六園の一角。
今、兼六園は、隅から隅まで春爛漫です。