呼吸のように・・・

俳句のエッセー

春夕焼けが消えるころ…

真っ赤な春の夕日。雲も染められています。
春の夕焼けが、海から山へと広がっていました。
山の手の喫茶店でウインナーコーヒーを頂き、
夕日に照らされていると、時計の音ばかりが聞こえてきました。
こちこちいう時計は、振り子時計。
壁に影を揺らしています。

夕日が、やがて色を失い、時計の音が高くなったような気がしました。
こちこちいう振り子時計は、やはり壁に影を揺らしていました。
時を刻む振り子時計ですが、振り子が時を操っているような錯覚をします。
振り子の音に、夕日が消えていったような、気がします。
振り子の音ばかりが、店内に響いていました。