シャボン玉は、大きく膨らますのが難しかった。
概して、大きいものは、壊れやすいように思う。
欲を出して、もっともっとと膨らませるうちに、飛ばないで割れることもよくあった。
透明で、虹色に輝いて、すぐに消えてしまう。
儚いもののたとえで使われる「シャボン玉」。
春の季語なのが、ちょっぴり切ない。
美しいから、すぐに消えてしまうのか、
すぐに消えるから、美しいのか…
散り急ぐ桜のイメージと重なるようだ。
そのシャボン玉に朗報(?)。
私の通っていた中学校には、科学部というのがあった。
公立中学の文化部だから、弱小に違いないのだが、
名前から想像される通り、
頭がめっぽう強くて、体力のなさそうな男子生徒が、数人集っていた。
彼らはシャボン玉の研究をしていた。
そして、ついに(?)、シャボン玉を凍らせることに成功したのだ。
それがいかほどのことか、私に聞かれても答えられない。
しかし、
儚いシャボン玉が冷凍保存されるということは、
シャボン玉のイメージを覆すことだから、大変なことにちがいなかった。
平板に半円形で凍りついたシャボン玉は、
やっぱり、七色に輝いていたように思う。
写真だったので、それ以上は良くわからないが、
美しさの冷凍保存と言えば、
なんとなく魅力的な実験のように思えるではないか。