呼吸のように・・・

俳句のエッセー

雪にて拭ふ

春近し雪にて拭ふ靴の泥   沢木 欣一

 

今日は節分。

明日は立春です。

暦の上では「春」になります。

「春近し」とは、ちょうど今頃でしょうか。

今年は雪が全くありませんが、雪で靴を拭うのは、珍しいことではありません。

春が近づけば、土も斑に見え始め、ぬかるみに靴を汚すことも増えてきます。

その靴についた泥を、雪をもって拭うのですが、

雪は粗く、拭っても泥は簡単には落ちません。

手で何度かこすりつけたり、

雪の塊へ足を向けて、靴をこすりつけたりして、泥を落とすのです。

すべて、春が近づいている故です。

「金沢にて」の詞書がある掲句は、

いかにも北陸出身の作者らしい生活感があり、

そのことが訴える力となっています。

明日は、春。

私たちも、各々の視点で春を感じ取ろうではありませんか。