呼吸のように・・・

俳句のエッセー

薬餌七粒

手のひらの薬餌七粒山笑ふ....和生

季語「山笑ふ」、春。
作者は、手のひらに錠剤を七粒のせて、今、飲み込もうとしています。
七粒もあれば、躊躇して当然かもしれません。
手のひらの薬を口へ運ぼうとして、ふと目を上げると、
窓の向こうに山が笑っていました。
「七粒も飲むのかい。大変だな、お前さん…」
そう言って、笑っているのでしょうか?
笑う山を見て、思わず苦笑いの作者を思い、
ちょっとおかしく、ちょっと切ない、一句です。