呼吸のように・・・

俳句のエッセー

春の夢

「てつっ」と名乗る声がぴしりと春の夢.......和生

「てつっ」は、林徹先生のことです。
俳句会で、自分の句を選んでいただいたとき、名乗りを上げます。
林徹先生は、迫力のあるかたでしたから、
「てつっ」という名乗りも、聞いているほうが背筋が伸びる思いでしょう。
田島和生先生は、雉の主宰を、林徹先生よりお継ぎになりました。
その田島先生が、「てつっ」という名乗りを、夢の中でお聞きになったのです。
春の夢とは、うららかな季節の気持ちのいい睡眠の夢ですが、
儚いことのたとえで用いられます。
林徹先生との句会の場面を夢でご覧になって、
田島先生は、どのような気持ちでお目覚めだったのでしょう。
厳しい先生が懐かしく感じられる、
主宰の思いがあったのではないでしょうか。