呼吸のように・・・

俳句のエッセー

左義長

どんど焼。吉書揚げ。…副季語がいっぱいあります。
正月の飾り物や書き初めなど、竹の骨組みに付けて焼きます。
書き初めは、紙に火がついて、
高く舞い上がれば上達すると聞かされていました。
自分の書が舞うのを期待して見つめたことも、
もう随分前のことになってしまいました。
今では、飾り物だけを手に出かけます。

竹がボンボンと爆音を立て、周囲の山々にこだまします。
炎はたかぶり、闇の空を焦がすかのように、
赤く、うねります。
やがて炎に撓った竹は、
ゆっくりと中心に倒れ込んでいきました。
炎に横たわる太い竹は、
やがて折れ、細くなり、地に上に落ちて行くのです。

炎が衰えると、辺りはまた、凍てつくような寒さに包まれました。
ぬかるみに付いた足跡が凍りついて、
踏めばパリパリ音がします。
更に凍てつく気配の中、
どんどの火をあとにしました…