呼吸のように・・・

俳句のエッセー

田螺(たにし)

田螺は、春の季語だ。
雨が降って、水がたまって、畑の一隅が浸ってしまうところに、
ミミズが這ったような跡が見える。

その先端に、田螺がいた。

田螺が水の中を動き回っていたのだ。
一匹や二匹ではなく、何匹も何匹もいたのである。

しかし、
その水たまりも、なくなった。
地面にはひびが入り、乾ききってはいないが水が全くない、
そんなところとなっていた。

当然、田螺もいなくなった。
一体、どこへ行ったのだろう。
どこへ避難したのだろうか。

これから本格的な夏がやってくる。
田螺の季節は、もう、終わっているのかも知れない。