呼吸のように・・・

俳句のエッセー

桜は、散り急ぐ花である。
満開の期間は短く、その後は、絶え間なく花弁を風に散らす。

その儚さ、潔さは、日本人の美意識や精神性を象徴しているように捉えられるが、
しかし、桜は弱くはない。むしろ、強い花だと思う。

盛りを極めた桜は、突風にさえ、一枚の花弁をも零すことはない強さがある。

山道に続く桜木が満開となり、木の枝に降り積もった雪のように
静かに密集して咲いている花々。
そこを、一瞬、通り過ぎる強風が、桜の枝を、音を立てて大きく揺らす。

花弁が散ってしまう…
そう思った瞬間、風は静かになり、辺りの枝も動きを止める。
が、桜は、花弁の一枚すら散らすことはなかった。
ぞっとするほどの光景。

桜は時が来るまで、散らない。
その潔癖さも、日本人の美意識と重なるようだ。

私は、淡いピンク色の花が好きである。
澄んだ青空によく映えると思う。
そこへ、白い綿の、タートルのセーターを着た人が立つと絵になると思う。
なんとなく、想像でしかないが、いつもそう思う。
花はもちろん満開。髪は短めがいい。
花が重なる間から、青空が広がって、
その下の幹の前に白いセーターの人が立つ。

どなたか、このイメージを形にしていただけまいか。
私の春のイメージである。