呼吸のように・・・

俳句のエッセー

花の雨

花の雨。
桜が、散り急ぎます。
雨の中でも、鳥たちは元気に囀り、
花を散らして、鳥が桜の枝を移っていました。
柔らかな雨は、しとしとと降り続き、
道に迷った花人らしき人が、不安げに携帯電話を取り出していました。
ピアノの音が遠くより聞こえます。
小さな音は、どこから流れてくるのか分かりません。
時が移り、やがて日暮れても雨は続き、
ピアノの音も、まだ、かすかに聞こえていました。
花の雨のひと時も、
あたたかな人の営みが、そこにはあります。