呼吸のように・・・

俳句のエッセー

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

弥生尽

三月今日でお終いです。 「三月尽」「弥生尽」と詠みます。 特別な思いがあって、季語になっていると考えていいでしょう。 季節も春らしくなると共に、 新しい生活を始める方も多いと思います。 その方々にとって、普段の風景が、特別なものに見えているかも…

花粉

スギ花粉が飛ぶ季節です。 山に囲まれた環境ですと、逃れようがありません。 陽のあたる斜面に、杉が整然と立ち並んでいるどれもが、 うっすらとオレンジ色を呈しているのが、遠目にも分かります。 まだまだ、花粉は飛びつくしていないようです。 これからも…

浅春

春浅き足裏揃へて鵜の潜き 田島 和生『かんさいの風』より。 当季の俳句を探すのも楽ではありませんが、 田島先生の俳句は、春の季語が多いので助かります。 可愛らしい鵜の姿を詠っている作品です。 まだ春浅い頃。水辺の風は冷たいことでしょう。 掲句の鵜…

竹の秋

鐘撞くや裏二上の竹の秋 泊 康夫 二上山の景色。 こちらは、富山県高岡市の二上山です。 万葉の里としても知られ、大伴家持が歌に詠んでいます。 万葉ラインというドライブコースが設けられ、 富山湾から能登までの眺望を楽しむことができます。 掲句の「鐘…

アカシアの花

アカシアの花の見えゐる手術室 小室 登美子16年間、手術室の婦長をなさっていた小室さん。 手術室の看護婦になるのが夢で、看護学校へ入学なさったそうです。 今月、14日に天に召された小室さん。 余命を告げられた時、お孫さんが無邪気に尋ねたそうです。 …

うぐひす

鶯や修理の仏寝かされて 西脇 妙子『かんさいの風』より。 何処か由緒あるお寺の仏像を思います。 木製品は、日本の気候では傷みやすく、 歴史ある仏像は、ついに修理をすることになったのでしょう。 立像は、今、寝かされて、仏師の前にあるのです。 普段は…

羽抜鶏

五階より飛び下りたるは羽抜鶏 福島 万沙塔 合同句集『かんさいの風』より。 鶏は鳥ではありますが、ご存知の通り、飛ぶことはできません。 その鶏が、五階から飛び下りたというのですが、 一体、この鶏はどうなったのでしょう。 驚き、興味津々、俳句に詠ま…

昼酒

昼酒や頭上に一つ比良の雷 田島 和生『かんさいの風』より。 お酒がお好きな先生の作品をご紹介します。 句会の後のお食事会では、熱燗が欠かせない先生です。 昨年の全国大会では、おでん酒をお詠みになりましたが、 それも「昼酒」の俳句でした。 そして、…

割れ西瓜

割れ西瓜浮き沈みゆく飛鳥川 太平 栄子『かんさいの風』より。 金沢の太平栄子先生の作品を発見しましたので、 ご紹介いたします。 割れた西瓜が、浮いたり沈んだりしながら、 流されてゆく様子が目に浮かびます。 夏の強い日差しのなか、西瓜は、哀れとも涼…

ガラスのビル

天守よりガラスのビルへ初燕 伊藤 由紀子『かんさいの風』、「風」関西合同句集(1999)より。 女性らしい感性が光る作品ではないでしょうか? 「ガラスのビル」という表現に惹かれます。 「ガラス」を漢字にせず、また、「ガラスのビル」と、 都会のビルデ…

冬椿

天辺は高嶺の見ゆる冬椿 田島 和生WEP俳句通信、「近江逍遥」16句。 「雉」主宰 田島和生先生の作品を鑑賞しています。 今日は、16句目の作品です。 冬の椿が、おそらく赤々と咲いているのでしょう。 椿は、意外にも、わりと大きな木になります。 掲句の…

鳰の見ていて

さつきから鳰の見てゐて釣れもせず 田島 和生WEP俳句通信より、「近江逍遥」16句。 「雉」主宰 田島和生先生の作品を鑑賞しています。 琵琶湖は、別名「鳰の海」といい、鳰の姿を良く見ることができます。 鳰は、小柄で、泳ぐというより浮んでいるといっ…

また、天の国で…

「雉」同人 小室登美子さんが 3月14日(火)朝、急性白血病のため永眠されました。 急なことでしたので、誰もが驚き、信じられない思いでした。 私は、12日(日)夜、お電話いただき、 今度、出版することになった、雉十日会の合同句集について、話を伺いま…

におどり

にほどりの尾羽短くまた潜ぎ 田島 和生WEP俳句通信より「近江逍遥」16句。 「雉」主宰 田島和生先生の作品を鑑賞しています。 におどり(かいつぶり)は、冬の季語で、水鳥です。 暗褐色をしていて、雀より大きく、鴨より小さいか同じくらいです。 潜りが…

木の実雨

いつときを湖へちゆぱちゆぱ木の実雨 田島 和生WEP俳句通信、「近江逍遥」16句より。 「雉」主宰、田島 和生 先生の作品を鑑賞しています。 とうとうこの句がでてきました。 季語は「木の実雨」、秋です。 木の実が熟して落ちるさまをいいます。 琵琶湖へ…

赤きもの

坊守の赤きものゆれ枯木寺 田島 和生WEP俳句通信、「近江逍遥」16句より。 「雉」主宰、田島 和生 先生の作品を鑑賞しています。 冬枯れのいろのない世界が広がる中、目の前に赤いものが現れます。 枯木の中に佇むお寺。 その一隅でのことでした。 どうや…

寒の日矢

明王の犬齒金色寒の日矢 田島 和生WEP俳句通信、「近江逍遥」16句より。 「雉」主宰 田島 和生 先生の作品を鑑賞しています。 明王、それは、忿怒の相を現している諸尊、 中でも、不動明王ではないかと推察しました。 怖ろしい形相の不動明王に犬齒がある…

猪威

枯山の魂(たま)打ち震ふ猪威 田島 和生WEP俳句通信、「近江逍遥」16句より。 「雉」主宰 田島 和生 先生の作品を鑑賞しています。 冬の山の木々は、すっかり葉を落として、枯れきっています。 その枯木が山の表を被い、山は眠りについたかのように思えま…

レント

今日から受難節です。 姉と相談しまして、プチ断食をすることになりました。 といいましても、大したことではありません。 毎朝、目覚めのコーヒーをいただいていたのですが、 これを止めることにしました。 受難節のあいだ、朝のコーヒーの時間に替えて、 …