呼吸のように・・・

俳句のエッセー

木の実雨

  いつときを湖へちゆぱちゆぱ木の実雨   田島 和生

WEP俳句通信、「近江逍遥」16句より。
「雉」主宰、田島 和生 先生の作品を鑑賞しています。
とうとうこの句がでてきました。
季語は「木の実雨」、秋です。
木の実が熟して落ちるさまをいいます。
琵琶湖へ降る木の実は、水を穿ち、ちゅぱ、ちゅぱ、と音を立てました。
湖面へ降る木の実は、パラパラと湖を打った音を、ちゅぱちゅぱを表しました。
ぽちゃん、ぽちゃん、といわれるような音でしょう。
音の表現は、俳句を面白くします。
しかし、ありふれた言葉では、よくありません。
「ちゅぱちゅぱ」と、独特の表現が生きています。
擬音語に創造性が光ります。