呼吸のように・・・

俳句のエッセー

羽抜鶏

  五階より飛び下りたるは羽抜鶏   福島 万沙塔 
 
合同句集『かんさいの風』より。
鶏は鳥ではありますが、ご存知の通り、飛ぶことはできません。
その鶏が、五階から飛び下りたというのですが、
一体、この鶏はどうなったのでしょう。
驚き、興味津々、俳句に詠まれていない先行きを、
あれこれと想像して愉快な作品です。
自註によると、この鶏は、ケガもせず地上に着地し、
トコトコと走って行ったとか。
哀れな羽抜の姿を儚んでの投身だったのでしょうか。
しかし、人間とは違い、軽くて羽根もありますし、問題なかったようです。
ただ、作者によると、そこはペット禁止のマンションだったそうで、
鶏を飼っていたという、新たな問題が勃発しました。
管理人がやって来て、こう尋ねます。
「鶏はペットでしょうか。」
作者、
「いや、鶏は、家畜でしょう。」
作者のこの一言で、不問に終わったとのことです。
何とも機知に富んだこの一言に、
乾杯!