呼吸のように・・・

俳句のエッセー

木の芽風

平日の教会は、ひっそりとしている。
誰かが必ずいるのだけれど、それ以上に静けさを感じさせる。
教会の扉は、閉じられることがない。
いつでも、誰でも来られるようにしてある。
教会で祈りたい人は、いつでも来て祈ることができる。
神様に対峙できる、そのようにしてある…

祈祷会の日は、その時だけは人の気配がある。
静かな活気に満ち溢れ、豊かな神の恵みに喜びが空気にも伝わる。

祈祷会の人が退け、また、静寂が訪れようとした時、
扉がゆっくりと開いた。
誰もいない。
風が、そう、木の芽風が扉を押していた。
温かな空気が来て、見ると桜が開き初めていた。

教会は、いつでも、誰でも訪れることができる。
そして、それを心待ちにしている。
それは、父なる神。
あなたを待つ存在は、決してなくならない。