呼吸のように・・・

俳句のエッセー

縄文公園。
高床式住居、竪穴式住居が復元されている。
木陰に動くものが見えて、近づくと、
猫にしては大きいし、犬とも違う。
距離があるからか、逃げもせず、じーっとこちらを伺っている。
目のあたり、髭の感じから、「たぬき」ではないかと…?
やがて側溝へ隠れてしまった。

これだけの自然でも、色々な動物がやってくるらしく、
高床式住居の下には、少なくとも二種類以上の足跡を発見した。

そこへ、木立に鳴き声が谺した。
切ないような、それは、雉の声だった。
姿は見えない。けれど、はっきりと近くに聞こえた。
一声だけだった。
暈の被った太陽は、おぼろに輝き、
高床の影は、下萌の地に長くなっていた。

人の時間はおしまいのようだ。
これからは、動物たちの時間、
縄文時代さながらの時が訪れるのだろう。

  暁光を寸鉄帯びし雉のこゑ   田島 和生