呼吸のように・・・

俳句のエッセー

大白鳥

きらめきて大白鳥の着水す   高島筍雄

 

「風」創刊500号記念号(平成2年4月)

 

瓢湖へ というタイトルの連作です。

「風」では、白鳥は特別な意味があります。

沢木欣一師の一句

 八雲わけ大白鳥の行方かな

昭和が終わりを告げたその日、

瓢湖にて詠まれた一句です。

特集号には、白鳥をテーマに、多くの作品が載せられています。

そのうちの一句が、掲句です。

さりげない風景です。

着水する大白鳥が日に眩しく煌いたといいます。

良くわかります。

空気が凛と張った冬の日に、白鳥の白い羽は、

眩しいほど輝いたことでしょう。

その眩しさは、かつて欣一師が詠んだ白鳥だろうか、

そのような思いだったかと思います。

師の一句を思うと、心理的にも眩しいと感じます。

白鳥がやってきました。

眩しいばかりに日をまとって、白鳥は水上に降り立ちました。

遠ざかる白鳥ではなく、こちらへ来たる白鳥は、

夢を摑むかの如く、昂揚したにちがいありません。