呼吸のように・・・

俳句のエッセー

栄螺(さざえ)

先日、栄螺をいただきました。

八つだったかな、こんな高価なものをいただいて、

かなり恐縮しましたが、猟場近くにお住まいなのでしょうか。

聞くところによると、様々な旬の魚介類をいただくそうで、

まったく羨ましい限りです。

栄螺は、もちろん壺焼きにしました。

壺焼きにするには、まず、栄螺の蓋を取らないといけません。

この蓋取りが厄介で、かなり奮闘しました。

竹串など、簡単に折れてしまうほどの強靭さですので、

金属製の串を使い、最後は、手を傷だらけにして、

「うん」と唸って、息を荒げていました。

傷などは、痛いとも思わないほど、真剣な取っ組み合いでした。

一度、中身を取り出し、緑の部分を除いて戻し、

醤油とみりんを併せた調味料を流し込んで、ぐつぐつ焼きます。

自らの身体を、自らの殻で煮込まれるとは、なんとも哀れです。

人間さまは、火を用意するだけ。

これこそ、海の幸というべきものでしょう。

神様、有難う……

送ってくださったAさん、有難う。

また、お願いします。