呼吸のように・・・

俳句のエッセー

釣の子

  釣の子が立ちて背見す葛嵐   田島 和生

『WEP俳句通信』vol.100より
葛原を思います。
「葛嵐」を用い、葛の動きを出しました。
「釣の子」が、しゃがんで引きを待っていたのでしょう。
そこへようやく当たりがきました。
子どもは立ち上がります。小さな背が、葛原の向こうに現れました。
幼い子供が全身で竿を操っているのでしょうか。
その勢いに呼応するかのように、
一面の葛が風に総揺れしました。
まるで葛の海に子供が立つように見えたかもしれません。
大きな動きがある一句。
葛の嵐が聞こえて来るようです。