呼吸のように・・・

俳句のエッセー

百足

風が気持ちのいい季節です。
暑くもなく、寒くもなく、快適な季節ですね。
窓を開けると、程よい風が吹いてきます。
日差しは強くなってきていますが、
日陰に入ると、強い日差しも忘れるほどです。
あるビルに入り、ふとさわやかな風を感じてふり向くと、
自動ドアから、また人が入って来たところでした。
ドアが開くたび、風が吹き込んできます。
新緑の匂いがしました。
と、人について、何やら走ってくるのものがありました。
足元をすりぬけて走る小さな生き物、それは、
百足でした。
ちょろちょろとたくさんの脚を動かして、
百足にしたら居心地の悪いはずのビルの中へ駆けて来たのです。
おそらく、風に押されてきたのでしょう。
風薫るころです。ビルの中も緑陰とおもったかもしれません。
百足はどこへ行ったのか、
誰にもわからないことでした…