呼吸のように・・・

俳句のエッセー

秋風

..秋風や石削る音山中に.......
秋の澄んだ空気を感じさせます。
空も澄み、ふとした音も響きが大きく感じられる、秋です。
山中から、石を切り出す音が響いているのでしょう。
削られる石の音、機械の金属の音、それぞれが一緒になって響きわたります。
おそらく、遠くに途切れなく響いていたのではないでしょうか。
秋風が吹き付けたとき、改めて、その音が耳に新鮮に聞こえたのでしょう。
山削る音、秋の風、ではなく、
「秋風や」と、風を強調しているところから、そのように思えます。
秋風に強く印象づけられた、石切り場の音。
「山中に」と盛り込むことで、作者の位置が分かり、
より具体的な場面を想像させます。
隙のない写生句ではないでしょうか。