呼吸のように・・・

俳句のエッセー

三光鳥

谷にある滝。
道を間違えて、入っていったそこに、
小さな階段が設けてあり、谷へ降ることができます。
足元から轟音が聞こえてきます。
風が湿っぽい。
まだ見えてこない滝の気配が、木立に満ちていました。

滝から離れ、切り立った山を辿る細い道を行くと、
しばらくして道が開けました。
青い空にすじ雲が流れ、見上げると、
葛が木々を舐めつくすように蔓延っていました。
ふと、ホイホイホイ…と聞こえたような…
 キーキーキィホイホイホイ…口真似をして、
あれ?どこかで聞いたような…
 キーキーキィホイホイホイ…
これは、三光鳥ではありませんか!
この切り立った山のどこかに鳴いています。
それほど遠くではないようです。

道に迷ったことが、思わぬ幸運に結びつきました。
こういう巡り合わせもあるのですね。
この世の中には…