この一面灰色の梅雨空を、何とか詠みこめないかと、
観察しながらあるいていた。
金沢城は鉛瓦で、梅雨の空に溶け込んでしまいそうだ。
城の石垣は、戸室石でできており、
戸室石は、確か、余り強靭な石ではなかったと思う。
それで、長い年月の間にかなりの補修が必要だったわけで、
結果、各年代の石垣が残り、「石垣の博物館」と呼ばれている。
お堀通りを歩いていくと、石垣の所々が斑に青々としている。
何か若葉が湧き立つように、石の間から萌えだしているのだ。
石垣は、「野面積み」と「切り込みはぎ」と、あと一つ何だっけ?
思い出せずに、じっと眺めていた。
佇んでいる間、雲はゆっくり流れているが、
どこまでも変わることなく灰色が続いていた。