におどり

 にほどりの尾羽短くまた潜ぎ   田島 和生

WEP俳句通信より「近江逍遥」16句。
「雉」主宰 田島和生先生の作品を鑑賞しています。
におどり(かいつぶり)は、冬の季語で、水鳥です。
暗褐色をしていて、雀より大きく、鴨より小さいか同じくらいです。
潜りが上手なようで、浮かんでいると思えば、クルンと潜って、
いつまでも上がって来ません。
琵琶湖に多い鳥だそう、琵琶湖の古名は、「鳰の海」です。
におどりは、潜るのが上手ですが、羽根が短く、飛ぶのは苦手。
ですから、ずっと水に浮んで、潜っては浮かび、また潜り、の繰り返し。
退化したと言われる尾羽を、改めて「短く」と写生し、
「また潜ぎ」と、その生態をよく理解して詠まれています。
ずんぐりとした体形は愛らしく、作者は愛をもって見つめています。
におどりは、何を思って、また潜っているのでしょうか。
その答えは、作者自身にあります。
鳰よりも、その潜る姿に、人が何を思うのか、
それが答えであり、この句の表すところです。
湖を見つめて、物思いに耽っている作者の姿を思い浮かべます。