呼吸のように・・・

俳句のエッセー

鰻釣

  竿立てて行つてしまへり鰻釣   田島 和生

『WEP俳句通信』より。
昨日の作品のつづきのようです。
子鷺が見守っていた鰻釣。
竿を立てて行ってしまったようです。
いともあっさりとした表現で、後に残された水面を表します。
何事も過ぎてしまえば、跡形もなく、夢のようです。
まるで、常ならぬ世を言い表しているようでもあります。
しかし、景色は、ただ一つ。
竿を立てて、鰻釣を終えて行ってしまった、ということだけです。
結論のないところに、様々に想像を膨らませる要素があります。
それが、俳句の特徴ですが、
掲句、あなたは、何を思い浮かべ、何を思うのでしょうか?
ふと尋ねたくなる一句です。