終戦日綱に縋りて鐘一打 和生
終戦日。田島主宰は大津にお住まいですから、
これは三井寺の鐘かもしれません。
残暑厳しいこの日、汗だくになりながら、鐘を突く姿が目に浮かびます。
終戦の日をご存知の方も少なくなりました。
しかし、鐘を突かずにはいられないほどの戦争の記憶は、
日本人の遺伝子となり、誰の心にもそれは存在しています。
当時、幼かった主宰も、この日、思いを込めて鐘を突かれたことでしょう。
「綱に縋りて」という表現に、当時の厳しい状況に思いが重なっていると思いました。
終戦のあの日、安堵と共に、混沌とした世界に不安を抱いた、
その喘ぐような思いが表れていると感じます。
綱に縋って突いた鐘、一つ。
力強いというよりは、細く長く響く音ではなかったでしょうか。
戦争は過去ではありません。
いえ、過去にしてはならないと訴えているようです。