呼吸のように・・・

俳句のエッセー

水を打つ蜻蛉

倶利伽羅ふもとにある大池に、よく出かけます。
夕方になると蟇蛙が鳴き、
灌木には石ころが動き出し、亀だと分かります。
辺りが薄暗くなると、一面青紫色の景色になり、
その青紫の一片が、不意に空へ飛び立ちます。
青鷺でした。
燕が池の面に触れつつ飛びまわり、
その中に翡翠の青い色が一羽混ざっていたりして、
見逃せません。

蟇蛙のおたまじゃくしが、
太い脚を縮めて池の底の日溜まりに動きません。
そこに何かしきりに羽ばたく小さな物を見つけました。
蜻蛉です。
水を打って、卵を産んでいるようです。
水面に触れているはずですが、動きも早く、水輪も立たないので分かりません。

大池には不思議がいっぱいです。
世の中には知らないことがたくさんある事を知り、
この田舎の産土を愛する思いが生まれました。
置かれた土地を愛して歩みましょう。