呼吸のように・・・

俳句のエッセー

うすうすと反故焚くけむり立葵   田島 和生

これは、とてもよくわかる俳句です。
立葵の華やかなころ、まぶしい日差しの中、
畑中に何かを燃やしている煙を見ます。
あまり、気にしませんが、確かによくある景色です。
この句に、ハッとさせられたのは、
反故を焚く煙に「立葵」が詠まれているところでした。
まず、思い浮かべたのは、
真っ白な葵の花でした。
反故を焚く煙は、うっすらと、やはり白くぼんやりしています。
しかし、その白さとは対照的な、真っ白な立葵の花。
その対比が、どこにでも見られる景色を、非凡なものにしました。
反故を焚くという、芥をイメージする言葉と、
立葵という、宝石のような存在を対比させ、
より一層、葵の花を美しく印象つけた表現力は、
他の追随を許しません。