呼吸のように・・・

俳句のエッセー

南瓜の花

  朝日浮き南瓜の大き花咲(わら)ふ   田島 和生
朝日が顔を出したとき、その日差しによって、
南瓜の花がまぶしく、鮮明に現れました。
花が、楽しそうに人が笑った顔に見えたのでしょう。
花が「咲ふ」と書いて、「わらふ」と読ませました。
思い切った表現方だと思います。
これは、おそらく琵琶湖から昇る朝日でしょう。
日本海側では、朝日は山から昇りますので、
このような、ハッとさせられる日差しはありません。
大津在住の作者が見た、朝の風景ではないかと想像します。
太陽が顔を出したその瞬間、強烈な閃光によって辺りが一変する、
その景色の中にある、南瓜の花です。
南瓜の花は、認知度の薄い花です。
それは、南瓜の存在感に対して、仕方のないことでしょうが、
意外なことに、斑のない、真っ黄色な見事な花を付けます。
あれは、何の花だろう…
そう、思ったかもしれません。
そして、そこが畠であることを知り、やがて南瓜の花と気づくのです。
見事な花の、意外な名前に、
作者も思わず笑みがこぼれたに違いありません。
こんな身近な存在なのに、私を知らなかったの?
南瓜の花も、そう言って笑ったかもしれません。