呼吸のように・・・

俳句のエッセー

初旅

初旅の汽車横ゆれに郷里さし   田島 和生

 

「初旅」新年。

汽車という言葉も、故郷を思うにはしっくりきます。

私も、幼い頃は「汽車」と言っていました。

今では「電車」です。

初旅の郷里へ向かう汽車の中での景。

琵琶湖近くに住む作者の故郷は、北陸の地。

雪国です。

段々と重苦しくなってくる空模様を懐かしく思いながら、

汽車は横揺れが続いています。

大きく揺らされる電車も、また、郷里の地、

すなわち田舎を思わせる要素でしょう。

都会的ではない、一つ一つがやぼったく、温かい、

そのような景色に変わりつつある汽車の中で、

思い出す青春の日々もあったかもしれません。

年末年始とは違い、初旅という季語が、作者の郷愁の思いと相反して、

この句に広がりを加えたようです。

新しい年の門出に、過ぎ去った時を懐かしむ思い、

それは単なる哀愁ではなく、

古いものに新しい意味を加えたような、

新鮮な思いだったのでしょう。