呼吸のように・・・

俳句のエッセー

雁渡し

俳句結社「雉」は、

「風」同人 林 徹先生が創刊された結社です。

徹先生が医者でいらしたからか、創刊当時から、

お医者の同人、会員の方が多くいらっしゃいました。

副主宰の望月皓二先生もそうですし、

泊康夫先生もそうでした。

類は友を呼ぶ、ではありませんが、

お話が合うのかもしれません。

私の姉の主治医だった方ですが、

お父様が俳人で、ご自身は、全く文才はないと仰っていました。

お父様の入選作品について、

雁(かり)を「がん」「がん」とおっしゃり、

河に風が吹いて、雁が渡っていくという句、

とご紹介いただいた句は、

「雁渡し」という季語の俳句でした。

「雁渡し」は、「雁」ではなく、

「雁」が渡っていく頃に吹く「風」のことです。

しかも、お医者が「がん」「がん」言えば、

違う漢字を思い浮かべてしまいます。

こういう、まったく俳句的ではない頭脳(?)の方もあるようですが、

確かに、医者の俳人は少なくありません。

水原秋櫻子、高野素十もそうでした。

また、正岡子規は新聞記者でした。

新聞記者も多くいらっしゃいます。

田島和生先生もそうです。

明治期、メディアの最先端は新聞でした。

その新聞と共に発展してきた俳句は、

最先端の情報と無縁ではいられないものだと、私は考えます。

現在は、ネット社会です。

ネットも、また、切り離せない俳句の要素だと思っています。