呼吸のように・・・

俳句のエッセー

初つばめ

  まんめんに湖のまたたき初つばめ   田島 和生

燕がやって来ました。
燕は、小さな体で一生懸命鳴きます。
雲雀さながらの美しい鳴き声です。
また、とても楽しそうでもあります。
燕の飛行速度は、夏にふさわしい。
軽快に青空をきってゆくのを見るのは、心弾むことです。
湖のさざ波がきらめく朝、燕が目の前を通り過ぎ、
あっという間に湖の面へ出たのでしょう。
さざ波の光りに溶けてしまう、小さな燕の姿。
瞬く湖の面に目をこらし、燕の行方を追う作者を思います。
夏が来た。
力強い命の季節を眩しんでいるかのようです。