呼吸のように・・・

俳句のエッセー

獅子独活(ししうど)

 獅子独活の白々ひらく地震の崖   田島 和生

あれは、前回の金沢での同人総会のあと、
2014年の5月、能登へ吟行に出かけました。
バス1台に乗り込んだ私たち二十余名は、奥能登へ向かいます。
途中、山藤が見られ、崖は一面の白い花が見られました。
何度も、その白い花が一面に広がって咲いているのを
車窓から見ることが出来ました。
やがて下車して、それは獅子独活だと分かります。
能登地震があった後でしたので、その獅子独活の花は
長閑で、また平和に思え、だからこそ一層、地震の傷が痛く
私達の心に残りました。
私は、俳句にすることが出来ませんでしたが、
主宰はしっかりとお詠みになりました。
「白々ひらく」の言葉が、座五の「地震の崖」を引き立てています。
能登には、若い頃、仕事でお住まいだった田島主宰。
お知り合いも多いと伺いました。
祈るような思いが滲み出ている一句でしょう。