呼吸のように・・・

俳句のエッセー

初硯

 詩を書かむ真水とくとく初硯   田島 和生

月刊『俳句界』一月号より。
真水で墨をする作者。
水滴のから、水をとくとく落し、筆を執る作者。
読み手の私たちも、気持ちが引き締まります。
書初めのことばは「詩」だと言います。
ご自分の詩であるのか、
有名な古典であるのか、
それは分かりません。
おそらく、年始にふさわしい言葉をお選びなのでしょう。
私なら、そのような詩を選ぶでしょうか。
そのように考えつつ読むと、鑑賞が深まります。
背筋をまっすぐにして、新しい年に向かう作者の姿に我が身を重ね、
かくありたいと望む思いが沸いて来ることでしょう。
新年の心意気を文字にした一句です。