呼吸のように・・・

俳句のエッセー

色変えぬ松

「色変えぬ松」秋の季語です。

紅葉が進むなか、青々と色の変わらない松を言います。

松の持つ「繁栄」や「永遠」のイメージを思い浮かべます。

 

降り積もる 深雪に耐えて 色変えぬ

松ぞ雄々しき 人もかくあれ

 

昭和21年、終戦後初の歌会始において、

昭和天皇がお詠みなったお歌です。

惨めな現状でありながら、未来への希望を抱き、

逞しく立ち上がろうとする気丈さを思います。

意外なほど若々しく、明るさを感じさせます。

「人もかくあれ」

ご自分に対して語っておられたかもしれません。

 

海陸(うみくが)の いづへを知らず 姿なき

あまたの御霊(みたま) 国護るらむ

 

平成8年、皇后陛下のお歌です。

英霊を思い、お詠みになったのでしょう。

彼ら、日本人の犠牲があって、今日があります。

その魂を、決してないがしろにはしてはならないとの、

ご決意の表れのようでもあります。

 

勇気をもって、大戦を学び、

歴史から知恵をいただきつつ、これからを歩む

逞しい日本人となりますように。

願っています。