呼吸のように・・・

俳句のエッセー

更衣

  ちちははの写真に見られ更衣   田島 和生

子どもの頃、父に見守られ、母の愛情に包まれながら
過ごした時間を思います。
その父母も、もう、写真の人となって久しい。
父母の写真を置いた、奥の部屋で着替えをしていると、
ふと、見られているような感覚になりました。
大人となった今は、恥ずかしさを感じ、
一方で、子供の頃の無邪気な感覚が蘇り、
その二つの感情が交錯しているのではないでしょうか。
淡々と事実だけを詠みあげた中に、
深い感慨を汲み取れます。
季語は「更衣」ですが、
お盆の季節に合った一句だとも思いました。