それでは、俳誌「雉」6月号から、
大前貴之さんの特選句をご紹介しましょう。
(平成29年4月 ネット俳句入選句)
蛇出でて雨の匂ひのしてゐたり 吉沢 美佐枝 「蛇」と「雨」の取り合わせは珍しくはないかもしれないが、「雨の匂ひ」となると話は別。蛇の細い舌がチロチロと動くさまが、眼前に彷彿とする。作者の繊細な感覚を示す秀作。
直立で写真撮らるる入学児 龍野 ひろし 成程そのとおり!素直な描写が、発見をもたらした作品。もっとも、こんな姿は小学生の間だけだろうけれど。
馬駆ける草原の先春の海 福江 真子 上五の叙述調がやや惜しい気もするが、それは作風。「草原」と「春の海」の配合によって生まれる作品の光は、作者自身の心の光でもある。
山法師雨足強くなりにけり 朝倉 みゆき 詩情あふれる取り合わせだ。こんな雨なら、降られてみたい気がする。
つばくろや漁師の交はす与太話 白石 正彦 「いい天気だな。おっ、燕がもう来ているぞ。」そんな他愛もない話の後は、命がけの仕事。軽重の対比がこの作品の眼目。
如何ですか?
どれも味わいのある作品ばかりです。
皆様も、是非、投句してみてください。
参加すると、さらに面白くなる「ネット俳句」です。
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