呼吸のように・・・

俳句のエッセー

語らへり   

  枯木みな瘤もて何か語らへり   田島 和生

WEP俳句通信より「近江逍遥」16句。
「雉」主宰 田島和生先生の作品を鑑賞しています。
枯木は、裸木ともいわれれ、葉を落とし尽くして、
幹が枝を張って、寒々と立ちすくんでいる、そのような風貌です。
あらわになった木々は、どこかしらごつごつとして、
見ると瘤がそこここに見受けられます。
そこへ、風が来て、強い風が来て枝々を揺らし、
ざわめく人声のように思えました。
人間は自分しかいない山道。
木々のざわめきは、この自分に語りかける言葉のように思えたかもしれません。
あるいは、人の知らない空間で、木々は人間のように語り合う、
妖精たちの世界に入り込んだような気がしたのかもしれません。
枯木は、どれも瘤をあらわにし、何かを語らっている、
幻想的な心の風景を実写的に俳句に詠みました。
感性の作品。