呼吸のように・・・

俳句のエッセー

ひよどり

  ひよどりのときに鋭(と)きこゑ谷渡り   田島 和生

ひよどりの声は鋭くて、
おそらく鵙と間違えて覚えている方も多いと思います。
飛び立っては、ピーーと鋭く鳴き、
山々を、谷を、木々を、
その声は過ぎてゆくのです。
ときに鋭き声
鵯の声が渡るころ、秋が日毎に深まってゆく頃でしょう。
彩の山が、やがて落葉して、
鳥たちの姿もあらわになっていきます。
鵯の鋭い声は、哀愁とともに
人の記憶に留められるのでしょう。