呼吸のように・・・

俳句のエッセー

岩にともりて

  初蛍岩にともりて息づける   望月 皓二

初蛍ですから、はっとした思いだったでしょう。
一つの明滅は、岩の上に止まっていたようです。
岩に止まり、これから飛び立つ思いを温めているように思えます。
まだ、さきがけの蛍は、ただ一点の明かりを岩にもたらしました。
大きな岩にとまる蛍は、「息づける」という表現で、
しずかな明滅を思わせます。
初蛍、息づく、それだけで表された、繊細な蛍の灯です。