宮居より高き棚田の初蛙 田島 和生
「宮居より高き」が面白い着眼点です。
宮居とは、神社でしょう。
神が鎮座ましますところです。
神の宮よりも高くに、なんと棚田があり、
なんとそこに蛙が鳴いているというのです。
「初蛙」という驚きに合わせ、宮居より高い棚田に鳴くという、
発見をさりげなく詠みあげています。
神様も人の営みには勝てず、見降ろされるにまかせ、
おまけに蛙までその高みに鳴いているとは、
宮居の神は、情けない思いかもしれませんね。
皮肉な視点をさわやかに詠みあげた、楽しい作品です。