呼吸のように・・・

俳句のエッセー

鳥の恋

  鳥の恋枝々はねてかまびすし   田島 和生

このような風景をよく目にしますが、
なかなか上手く表現しきれません。
高枝にやってきて、しきりに囀り、そして羽ばたき、
花を葉を散らしています。
情熱的な求愛行動なのでしょう。
鳥が鳥を追い、枝を渡ってゆく姿は、一途そのものです。
そのような恋する鳥の姿を、「枝々はねて」「かまびすし」と、
素直に写生しています。
その飾り気のなさが、むしろ、訴える力を持たせました。
よく見る光景なだけに、読み手の想像に任せてしまうことで、
句に広がりが生まれたのでしょう。
このような表現は、実は最も難しいと言えるのではないでしょうか。