呼吸のように・・・

俳句のエッセー

春田打ち

  蜆貝照つて近江の春田打   田島 和生
近江の春田打。
蜆がたくさん採れる、豊かな湖、琵琶湖。
これは、生きた蜆が、湖にきらめいていたというのではなく、
春田を打っていると、土に蜆の殻が混じっていて、
日の光に照り輝いた、という風景に思います。
ちょうど縄文時代貝塚のように、湖の近くの土では、
蜆の殻が、そこかしこに捨てられているのではないでしょうか。
春田を打っていると、貝殻が出てくるのは、
珍しいことではないのでしょう。
これも近江という土地ならではのことです。
その地域性を捉え、新鮮な発見を読者に与えています。
広々とした春田、そして、湖の風が感じられる一句です。