呼吸のように・・・

俳句のエッセー

落花

   船頭の顔へ落花の一しきり   田島 和生
琵琶湖水郷めぐり。
お座敷船にお客を乗せて、船頭は櫓を操ります。
水面は花筏
その花を散らして、櫓は左右に水を動かしています。
進みゆく船の艫に、船頭は、その顔に落花を受けているのでしょう。
しきりに散る桜の花を顔に受けて、
お客を乗せた船は、ゆっくりと、ゆっくりと進みます。
まったりとした時は、
現代を生きる者にとって、貴重な時間です。
その楽しさを伝えている一句です。