あかあかと被爆地を掘る寒さかな 田島 和生
広島の記念館工事のためでしょう。
発掘調査をしていました。
それほど深くないところに、かつての住居跡が確認できました。
かつて、と言いましても、70年前。
古い話ではありません。
原爆に散った町の痕跡を、明らかにしているのです。
土がそうであるのか、焦土なのかわかりませんが、
あかあかとした土の色が印象的でした。
掲句はその発掘現場での作品。
あかあかと掘り返された土の色に、一層、寒さを感じたのでしょう。
社会性のある、田島主宰らしい俳句です。