呼吸のように・・・

俳句のエッセー

芭蕉の杖

  くねくねと芭蕉の杖のうららけし   田島 和生

義仲寺。
芭蕉の杖を初めて目にして、
こんなに繊細な杖だったのだと、驚いたことを覚えています。
寺の入り口の傍の建物に展示されている杖は、
芭蕉の名声に反して、些細なもののように感じたのです。
平たく申しますと、「こんなもの?」といった、感覚です。
春の日差しがまぶしくなるころ、
麗らかな日差しにあって、芭蕉の杖は、頼りなく横たわっていたのでしょう。
「うららけし」の季語が効果的に用いられ、
芭蕉の杖の印象を伝えています。