2016-03-17 草餅 草餅や娶らず征きし兵の墓 山 信夫 草餅をお供えしてある、兵士の墓。 若くして出兵し、帰ってくることはありませんでした。 あれから幾年も経て、未だに草餅を供えてくれる家族がいるのでしょう。 好物だったのか、供えられた草餅に思いがこもります。 「娶らす征きし」の「征」という字は、「逝」とは使わず、 死を思う回顧ではなく、出兵した時を偲んでいるところに、 句の深みを増しています。 戦争という重いテーマを、淡々と表現しているところが、 むしろ強烈な印象を与えている一句です。