呼吸のように・・・

俳句のエッセー

春泥

  春泥を歩く汽笛の鳴る方へ   細見 綾子
思えば、春泥も珍しくなりました。
特に、土のない都会では、春泥もありません。
春泥とは、春の雨や雪解けによって、
土がぬかるむことをいいます。
細見綾子の時代、汽笛の鳴る方、すなわち駅へ、
春泥を歩いて行ったというのです。
駅とは、旅の象徴でしょうか。
どこかへ出かけたくなる陽気を、この句は含んでいます。
春泥もまた、春の訪れの一つの証拠。
見事に春の雰囲気を表しています。