呼吸のように・・・

俳句のエッセー

雉ネット俳句(9月)

「雉」ネット俳句入選句

大前 貴之 選
【一般の部】

〈特選〉
盆過ぎの小草の生ゆる墓苑かな    吉岡 ユキ
 親族が賑やかに墓参りに訪れた盆からしばらく跡のこと。一人訪れた墓苑の「小草」の発見に、哀れがある。また、平明な言葉の紡ぎだす静かな調べが、作品の情緒を高めている事にも注目した。

消灯や病室の窓望の月    白石 正彦 灯を消してはじめて気付く月光の明るさ。窓の大きな病室ならではの発見だ。調べがやや切れ切れだが、それを補って余りある情感がこの作品にはある。


【高校生の部】

〈特選〉
放課後の空を明るく赤とんぼ    美卯美卯 中七に示された、作者の季節に対する感覚が秀逸。思いは深く、姿は軽やかに。深読みできる作品だが、それは読者ひとり一人の楽園の営み。

以上、俳誌「雉」11月号より抜粋いたしました。

明日につづきます。
お楽しみに…